小脳血管芽腫瘍(血管内治療)
小脳血管芽腫瘍
代表症例 60代男性
再々発で他院からご紹介いただいた充実性小脳血管芽腫
小脳血管芽腫の患者様ですが、充実性で血流に富み、手術の際にとても出血しやすい腫瘍です。腫瘍の大きさも40mmを超えており、水頭症を併発しているため緊急手術のご依頼を他院からいただきました。術前に血管内治療でご高名な昭和大学藤が丘病院の寺田友昭教授を招聘し、NBCA(血管塞栓物質)による超選択的腫瘍塞栓術をに行っていただきました。
【注釈】:NBCA(n butyl-2-cyanoacrylate)は、瞬間接着剤アロンアルファを代表とするシアノアクリレート系接着剤の一 種であり、医療では皮膚創傷の止血用に使用されてきました。
最近では、血液との接触によって重合硬化するという本剤の特性により、新たな血管塞栓材として使用されています。



MRI上充実性の小脳血管芽腫を認めました。 造影CTA上多数の栄養血管を認めます。


血管造影:椎骨動脈撮影では右後大脳動脈から多数の栄養血管を認め、腫瘍が濃く染まっています。

血管造影:外頚動脈撮影では中硬膜動脈の錐体枝より腫瘍が染まっています。

後大脳動脈のとても小さな栄養血管からNBCAを注入していきます。

約半分の栄養血管が閉塞してきました。

終盤は外頚動脈の中硬膜動脈からNBCAを注入しながら塞栓を続けます。


最終的に血管描出像は消失しました。
血管内治療に開頭腫瘍摘出術を行ったところ、術中出血は20ml程度でした。術後経過は安定しており、術後約30日でリハビリテーション病院へ転院となりました。