脳神経外科

特長・得意分野

当科の外科治療の特徴は、他院で手術を断られた治療困難な動脈瘤や手術が難しいとされる脳動静脈奇形、頭蓋底腫瘍なども医師側の都合で逃げる事なく積極的に治療を行なっている点です。師匠である上山先生からの教えを踏襲しており、諦めずに戦い続けるのが信条です。数十ミクロン程度の微細な血管や脆弱な脳軟膜等、損傷しやすい構造物の温存を心がけた丁寧な手術を行っています。動脈瘤が大型、血栓化など特殊な場合は、ハイフローバイパスや深部バイパスなど種々のバイパスを併用して、瘤を完全に根治するよう心がけています。また、夜間祭日であっても脳外科チームの神経生理技師が駆け付け術中にVEP MEP SEPなどの神経機能のモニタリングを行うことで、脳神経障害、麻痺等の合併症を未然に防ぐように心がけています(夜間はモニタリングができない施設が大半です)。未破裂脳動脈瘤の合併症として、麻痺、脳神経障害、高次脳機能障害などが懸念されますが、上記手術を行うことで精度の高い安全な治療を提供できる様に努めています。お陰様で現在までに未破裂脳動脈瘤213例中mortality&morbidity rate=重篤な障害を後遺された方は一名のみで合併症率=0.47%です。(一般的には2-4%とされています)治療困難と他院で断られた方を多数含む中では良好な治療成績と自負しております。
また、動脈瘤破裂によるくも膜下出血の合併症である脳血管攣縮により、一般的には15%-20%程度の患者さんが、虚血症状を起こされますが、当院では手術中に徹底して脳槽に入り込んだ血腫を反対側まで吸引洗浄して取り除くために、症候性の脳血管攣縮はほぼ起こりません。現在までに123例のくも膜下出血の治療を行いましたが、経過中に症候性脳血管攣縮を起こされ、血管内治療を必要とした症例は4例(3.2%)です。また、くも膜下出血後に元の生活に戻れる方の割合(mRS 0-2)は、通常40%-50%程度と報告されていますが、当施設では77%です。全症例の内gradeIV, Vの重症くも膜下出血の患者様は44例(35.8%)含まれていたのですが、良好な治療成績を得る事ができています。
動脈瘤等の治療症例数は助手も含めると2000例を超えた日本脳卒中学会技術指導医がおり、上山式の安全で根治性の高い開頭治療と寺田医師による最先端の血管内治療を組み合わせた治療を行なっています。脳動脈瘤治療後の再発や、大型の脳動脈瘤で治療が難しい、高齢だからといった理由で他院で断られた方は、一度ご相談ください。随時初診外来で診させていただいております。

診療実績・施行実績

2018年5月〜2025年3月31日まで

脳動脈瘤(直達術) 332例(バイパス併用例37例OA-calcarine、OA-PICA、M3-M3、A3-A3、STA-MCA、STA-ACA、STA-SCA、EC-RA-M2 OA-AICA)
頸動脈血栓内膜剥離術 75例
虚血に対する血行再建術 STA-MCA bypass 42例、STA-ACA bypass 2例、OAPICA bypass 1例、OA-MCA bypass 1例
もやもや病 5例(STA-MCA、STA-ACA、Target bypass)
脳動静脈奇形摘出術 18例
海綿状血管腫 6例(脳幹部2例)
脳腫瘍 90例
開頭脳内血腫除去術 109例
内視鏡下血腫除去術 9例
血管内手術 215例(血栓回収117例 動脈瘤コイル塞栓術23例 CAS16例 VAS1例 Onyx21例 NBCA21例(硬膜動静脈瘻、脳動静脈奇形など) PTA3例 その他8例)
急性硬膜下血腫 25例
急性硬膜外血腫 6例
下垂体腫瘍(経鼻) 12例
外減圧 22例
MVD 11例
Embolectomy 12例
その他 359例(気管切開やスパイナルドレナージ等の処置は含めません)

随時実積をupします。