肥満や高血圧・糖尿病の
有無や栄養状態を調べる
検査です
心筋梗塞や脳卒中をはじめ、さまざまな合併症をもたらす高血糖・糖尿病、高尿酸血症の有無を調べます。
また、メタボリックシンドロームの指標となる内臓脂肪蓄積・肥満の有無やからだの栄養状態をチェックします。
脂質検査
血液中の脂質の量を測定して、脂質異常症(高脂血症)などの生活習慣病の疑いがあるかどうかを調べる検査です。
脂質異常症でもっとも問題とされる合併症は動脈硬化症で、脳梗塞・脳出血・狭心症・心筋梗塞などを引き起こします。
総コレステロール(TC)
血液中に含まれるすべてのコレステロールを測定した総量を「総コレステロール」といい、HDLコレステロール値とLDLコレステロール値、中性脂肪値の1/5の合計値で算出されます。
総コレステロールの数値が高い場合には、LDLコレステロール・HDLコレステロールなどを個別に測定し、動脈硬化のリスクを判定する必要があります。
- 基準値
- 140 ~ 199 mg/dl
LDLコレステロール(LDL-C)
「悪玉コレステロール」と呼ばれる動脈硬化の危険因子のひとつです。そのため、基準値より高い数値が続くと心筋梗塞など冠動脈疾患の原因になります。
測定方法には、直接測定する直接法とFridewaldの式で算出される間接法があります。当センターでは直接法で測定しています。
- 基準値
- 60 ~ 119 mg/dl
(人間ドック学会基準値に準拠)
甲状腺機能亢進症・重症な肝障害・栄養状態の低下・薬剤性などにより、続発的にLDLコレステロールが低下する場合があり、人間ドック学会の判定区分では59 mg/dl以下が受診勧奨となります。
HDLコレステロール(HDL-C)
「善玉コレステロール」と呼ばれ、血管の壁などに付着しているコレステロールを回収する働きをしています。HDLコレステロールが低いと動脈硬化がおこりやすくなるため、40mg/dl以上を目標とすることがすすめられています。
- 基準値
- 40 ~ 99 mg/dl
(人間ドック学会基準値に準拠)
コレステリルエステル転送蛋白(CETP)欠損症・肝性リパーゼ欠損症・原発性胆汁性肝硬変・アルコール・薬剤性などで高値となる場合があり、人間ドック学会の判定区分では120 mg/d以上が受診勧奨となります。
Non-HDLコレステロール
動脈硬化を総合的に判断する指標です。
総コレステロール値からHDLコレステロール値を引いて算出し、すべての悪玉の量を調べることができます。
- 基準値
- 90 ~ 149 mg/dl
動脈硬化指数
HDL(善玉)コレステロールとLDL(悪玉)コレステロールの比率から、動脈硬化のリスクを評価します。
LDLコレステロール/HDLコレステロール の式で算出されます。
- 基準値
- 0 ~ 2.9
中性脂肪(トリグリセライド)
血液中の脂肪の一種です。数値が基準値より高くなると、動脈硬化や心臓病・脳卒中などの生活習慣病のリスクが高まります。
- 基準値
- 30 ~ 149 mg/dl
(人間ドック学会基準値に準拠)
甲状腺機能亢進症・吸収不良症候群・肝硬変などにより二次的に低下することがあり、人間ドック学会の判定区分では29 mg/dl以下が受診勧奨となります。
脂質異常症:
スクリーニングの為の診断基準
LDLコレステロール | 140 mg/dl 以上 | 高LDLコレステロール血症 |
---|---|---|
120 ~ 139 mg/dl | 境界域高LDLコレステロール血症 | |
HDLコレステロール | 40 mg/dl 未満 | 低HDLコレステロール血症 |
中性脂肪(トリグリセライド) | 150 mg/dl 以上 | 高トリグリセライド血症 |
リスク区分別脂質管理目標値
治療方針の原則 | 管理区分 | LDL-C | HDL-C | 中性脂肪 | non HDL-C |
---|---|---|---|---|---|
一次予防 まず生活習慣の改善をおこなった後、薬物療法の適用を考慮する |
カテゴリーⅠ | <160 | ≧40 | <150 | < 190 |
カテゴリーⅡ | <140 | < 170 | |||
カテゴリーⅢ | <120 | < 150 | |||
二次予防 生活習慣の是正とともに薬物療法を考慮する |
冠動脈疾患の既往 | <100 | < 130 |
※non HDL-C は総コレステロール(TC)からHDLコレステロール(HDL-C)を引いた式で算出されます。
(動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012より)
糖代謝検査
糖尿病を診断するための検査です。糖尿病になると、高血糖の状態が続くことで全身の血管壁が傷つけられてしまいます。そのため、糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害などの合併症や、動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞発症のリスクも高くなります。
尿糖
尿の中に含まれるブドウ糖の量を調べることで、糖尿病の疑いがあるかどうかを判定します。腎性尿糖などでも陽性を示します。
- 基準値
- 陰性(-)
HbA1c(ヘモグロビンA1c)[NGSP]
血液中のブドウ糖とヘモグロビンが結合したものです。過去1〜2か月の血糖の平均値を示し、糖尿病の診断に用いられます。
- 基準値
- ~ 5.5 %
(人間ドック学会基準値に準拠)
※平成25年4月から、厚生労働省の指導により、これまでのJDS値から国際基準のNGSP値へと表記が変更になりました。
NGSP値とJDS値は以下の計算式により相互に変換することができます。NGSP値 = 1.02 × JDS値 + 0.25
JDS値 = 0.980 × NGSP値 – 0.245
空腹時血糖
血液中のブドウ糖の量を測定して、糖尿病のリスクを調べる検査です。10時間以上絶食した状態で採血をおこないます。
- 基準値
- 50 ~ 99 mg/dl
(人間ドック学会基準値を一部変更)
HOMAについて
糖尿病には1型と2型の2種類があります。
1型は、インスリンの分泌が極端に低下して血糖値が極度に高くなるため、インスリンの自己注射による治療が必要となります。
一方、2型は糖尿病の大多数を占めており、さらに大きく2つに分類することができます。
ひとつは、加齢にともないインスリンの分泌が徐々に減少し、必要量に満たなくなったことが原因で発症するタイプです。インスリンの基礎分泌量が比較的少ない日本人に多いとされ、体重は普通であることが多いのが特徴です。
もうひとつは、肥満によりインスリン抵抗性が存在するタイプです。内臓脂肪過多によりインスリンへの抵抗性があらわれ、同じインスリンの量が分泌されても効きにくい状態となります。その結果、血糖値を維持するために分泌されるインスリンの量が増加してしまいます。このようなインスリンに対する抵抗性の状態を知ることができるのが「HOMA-R」です。血糖値と血液中のインスリン値から、計算式によりインスリン抵抗性の評価が可能です。また、「HOMA-β」ではインスリンの分泌の状態を調べることができます。HOMA-βの数値が低い場合は、インスリンの分泌自体が低下していることを意味します。

痛風検査
痛風の有無を調べる検査です。肥満や過度の飲酒、プリン体が多く含まれる食品の摂りすぎなどにより、数値が上昇します。
尿酸
尿酸の値が高くなることを高尿酸血症といい、いわゆる痛風の原因となります。
- 基準値
- 2.1 ~ 7.0 mg/dl
(人間ドック学会基準値に準拠)