血液検査によって肝臓・
膵臓の機能を評価します
肝臓や膵臓は、病気を発症しても初期の段階では自覚症状がほとんどありません。
気づかずに進行してしまうと治療も難しくなるため、早期発見することが重要です。
血清たんぱく検査
総たんぱく
血液中に含まれるたんぱくの総量です。
血液中のたんぱく量は一定の濃度に保たれていますが、栄養状態・肝機能・腎機能などに異常があると数値が変動します。
- 基準値
- 6.5 ~ 7.9 g/dl
(人間ドック学会基準値を一部変更)
アルブミン
血液中にもっとも多く含まれるたんぱく質です。肝臓で合成されるため、数値の異常は肝臓障害の指標となります。
また、アルブミンは血液の浸透圧を維持し、血液中の水分を血管の外に出さないようにしています。
アルブミンが不足すると、血管の外へ水分が出て組織に水がたまりやすくなるため、むくみの原因となることがあります。
- 基準値
- 3.9 g/dl ~
(人間ドック学会基準値に準拠)
肝機能検査
GOT(AST)
細胞のなかでつくられる酵素で、肝臓・心臓・腎臓などに多く存在しています。
これらの組織に障害があると、血液中に漏れだして数値が上昇します。
- 基準値
- ~ 30 U/L
(人間ドック学会基準値に準拠)
GPT(ALT)
細胞の中でつくられる酵素で、主に肝細胞に存在しています。肝細胞が障害を受けることにより血液中に漏れだし数値が上昇します。
- 基準値
- ~ 30 U/L
γ-GTP
肝臓や腎臓などでつくられる酵素で、おもに肝細胞や胆管細胞に存在します。
肝臓の解毒作用に関係する酵素で、アルコール性肝障害や胆汁のうっ滞※などにより数値が上昇します。
※うっ滞=胆汁の流れが阻害された状態
- 基準値
- ~ 50 U/L
(人間ドック学会基準値を一部変更)
ALP(アルカリホスファターゼ)
肝臓・胆道・骨・小腸・胎盤などに多く含まれる酵素で、肝臓や腎臓などでつくられます。
肝臓では毛細胆管膜に多く存在し、胆汁中にも存在します。
数値が高い場合、肝細胞の障害や胆道閉鎖の疑いがあり、肝炎等の肝臓病・胆石・胆道がん等では非常に高い数値を示します。
- 基準値
- 104 ~ 338 U/L
LDH(乳酸脱水素酵素)
肝臓をはじめ、心臓・腎臓・赤血球などでつくられる酵素です。
何らかの原因で臓器組織がダメージを受けると、血液中に漏れだして数値が上昇します。
- 基準値
- 120 U/L ~ 240 U/L
コリンエステラーゼ
肝臓でつくられる酵素のひとつで、肝細胞に異常があると数値が増減します。
ほかの検査より早く異常があらわれるため、肝臓の障害を見つけやすい検査として用いられています。
基準値より低値の場合 | 肝機能低下の疑いがあります。 |
---|---|
基準値より高値の場合 | 脂肪肝などの疑いがあります。 |
基準値 | |
---|---|
[男性] 240 ~ 495 U/L | [女性] 250 ~ 452 U/L |
ビリルビン
古くなった赤血球が脾臓で破壊されるときにつくられる黄色い色素のことで、以下の3つに分類されます。
間接ビリルビン | 肝臓で処理される前のビリルビン |
---|---|
直接ビリルビン | 肝臓で処理された後のビリルビン |
総ビリルビン | 間接ビリルビン+直接ビリルビン |
基準値 | |
---|---|
|
|
|
肝炎ウイルス検査
HBs抗原定性
HBs抗原は、B型肝炎ウイルス(HBV)の外側を覆っている蛋白質です。
HBs抗原が陽性を示すことは、B型肝炎ウイルスに感染していることを意味します。ただし、陽性であっても肝炎などの症状が現れるとは限らず、そのような状態を無症候性キャリアと呼びます。
HCV抗体
HCV抗体とは、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染した際にできる抗体です。
陽性であれば、現在C型肝炎ウイルスに感染している、あるいは過去に感染したことがあるということを示します。また、結果が陽性の場合は「HCV-RNA定性検査」を受け、現在も持続感染しているか確認する必要があります。
当センターでは陽性の方に対し、「HCV抗体の力価」について報告しております。
膵機能検査
血清アミラーゼ
膵液や唾液に含まれる消化酵素で、障害があると血液中や尿中に漏れだして数値が上昇します。
膵臓の病気の発見や経過を観察するための指標として用いられます。
- 基準値
- 37 ~ 250 U/L