「沈黙の臓器」
と呼ばれる肝臓は、
炎症や初期のがんに
対する自覚症状が
ほとんどありません
肝がんの原因は、約90%がB型肝炎・C型肝炎の肝炎ウイルス感染によるものです。
そのため、肝炎の方やそのキャリア(感染歴のある方)と分かっている方は、
定期的に肝炎ウイルス検査をしなければなりません。
また、アルコール性肝障害や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)・自己免疫性肝障害では、肝硬変を経て肝がんを発症します。
肝がんを予防するためには、多量の飲酒や喫煙を控えるとともに、
肝機能検査・腹部超音波検査・CT検査なども含めて定期的な検診をおこなう必要があります。
肝炎ウイルス検査
HBs抗原定性
HBs抗原は、B型肝炎ウイルス(HBV)の外側を覆っているタンパク質です。
HBs抗原が陽性を示すことは、B型肝炎ウイルスに感染していることを意味します。ただし、陽性であっても肝炎などの症状が現れるとは限らず、そのような状態を無症候性キャリアと呼びます。
HCV抗体
HCV抗体とは、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染した際にできる抗体です。
陽性であれば、現在C型肝炎ウイルスに感染している、あるいは過去に感染したことがあるということを示します。また、結果が陽性の場合は「HCV-RNA定性検査」を受け、現在も持続感染しているか確認する必要があります。
当センターでは陽性の方に対し、HCV抗体の力価について以下のように報告しております。

HCV抗体の力価について
HCV抗体が陽性であっても、力価(カットオフインデックス=COI)による感染状態の推測が可能であると研究からわかっています。
(検査方法/PCIA法・測定試薬/ランリームHCVⅡEXにおいて)
COI | 判定 | 解決 | 精密検査の必要性 |
---|---|---|---|
1.0未満 | 陰性 | 異常なし | 無 |
1.0 ~ 9.99 | 陽性 | 過去の感染の可能性が高い | 有 |
10.0 ~ 44.9 | 陽性 | 感染状態の可能性あり | 有 |
45.0 ~ | 陽性 | 感染状態の可能性が非常に高い | 有 |
腫瘍マーカー検査/α-フェトプロテイン(AFP)
肝細胞がんのスクリーニング検査に用いられます。肝細胞がんのほか、肝芽腫・ヨークサック腫瘍などでも高値を示します。また、妊娠中の方は値が上昇する傾向があり、慢性肝炎や肝硬変でも陽性になることがあります。
なお、腫瘍マーカーの値だけでがんの有無や発生場所は確定できないため、必要に応じて画像検査などをあわせておこない、医師が総合的に判断します。
