自然気胸再発について

せっかく手術を行ったのに再発することがまれにあります。自然気胸で問題になるのは再発率です。一般に開胸手術で行った場合より胸腔鏡下手術の方が再発率は高いとされています。これまでさんざん学会等の学術集会で議論されてきました。

自然気胸再発症例1
自然気胸再発症例1

両側VATSを行った症例で、右は五年前にブラ切除のみを行ったためstaple(赤い矢印)周囲にブラ(黄色い矢印)が新生している。五年後、気胸が再発した。左は一年前にVATSを行ったが、staple周囲にネオベールを貼付しており、現在のところブラの新生はみられない。

自然気胸再発症例2
自然気胸再発症例2

再発に対して再度VATSを行った。 摘出標本でもstaple周囲からのブラ新生が確認できた。

この原因の一つに、気腫性のう胞(ブラ)の見落としやブラ新生(切除した部分以外のところに新たにブラが発生する)が挙げられます。ただブラを切り取るだけではなく、再発防止対策も出来なければ有用な手技として認められません。私自身、これまで自然気胸に対して通常の胸腔鏡下手術を150例以上、細径胸腔鏡下手術では50例以上行ってきました。これまでの経験でも全く原因のわからない難治性気胸も確かに数例ありましたが、ほとんどの場合は先に述べたことが原因と思われました。細径胸腔鏡下手術は10mmと2or3mmの光学視管を併用します。これは別の角度から観察が出来るということです。またMLRは牽引鉗子としても利用でき、ある程度肺を膨らませた状態で、見落としの多い肺尖(肺のてっぺん)の後ろや縦隔(左右の肺に囲まれた血管や神経、気管が通る脂肪組織)側をくまなく観察することが出来ます。ブラ新生対策に対しては、脆弱な肺胸膜を補強する意味で生体に生着する(商品名:ネオベール、タココンブ、バイクリルメッシュ)といった吸収性の人工シートで切除した範囲を補強することが可能です。なお、空気漏れ対策にこれまでフィブリン糊という、人あるいは動物由来の血液血漿成分由来の糊を多用していました。しかし最近、改正薬事法により特定生物由来製品の使用については、インフォムードコンセントが必要で、承諾なしに安易に使用することが出来なくなりました。

ネオベール貼付

stapleライン周囲にネオベールを貼付しているところ