肺を切除する場合に行う方法は
肺を切除するためには自動縫合器(切離と縫合が同時におこなえる手術器具)を体内へ挿入する必要があります。さらに、胸腔内で切除した検体は必ず対外へ摘出する必要があります。また、術後は必ず胸腔ドレーンを挿入し吸引器に接続、引圧に保ちながら術後の出血や空気漏れの有無を、少なくとも12〜24時間観察する必要があります。このような理由から最低でも1.5mm程度の大きさの孔 (one window)がそもそも必要なのです。従来の胸腔鏡下手術はこの孔 (one window)をさらに2〜3カ所設け行っていました。 本法の特徴は、一カ所のみは小切開を加えるが、その他は穿刺のみで行う方法です。 この手技のほとんどは、自動縫合器を用いる肺部分切除術が中心となります。対象となる疾患は1.自然気胸、2.診断未確定の肺病変、3.肺野末梢発生の良性腫瘍や転移性肺腫瘍、4.ごく一部の早期肺癌などです。通常の胸腔鏡下肺部分切除が可能なものは、まず本法も可能と考えております。一方、肺癌の病期診断目的の縦隔リンパ節生検や縦隔のう腫の摘出でも可能です。

- 細径鉗子
- 10mm光学視管
- ミニループリトラクター
- 細径光学視管(2mm or 3mm)
- 自動縫合器
胸腔鏡で肺を切除するには、覗く、掴む、切るといった作業を同一に行う必要があります。このため最低でも3つの穴が必要となります。本法は細径光学視管と通常用いる太い10mm光学視管を両方用いることで、覗く、掴む、切るといった作業を一つの皮切と2つの穿刺手技( one window and two punctures method )で可能としました。切除する目的の部位によってone window の位置は変わりますが、通常第6〜7肋間の前腋窩線上に約1.5〜2cmの皮切をいれます。この際マーカインという局所麻酔薬を皮下、筋層、壁側胸膜へ注入しておきます。ペアンという鉗子を用い穴を開けます。次にポートと呼ばれる外筒を挿入し、まず10mm光学視管(胸腔鏡)で胸腔内を観察します。 あとは、穿刺による穴を2つ入れます。通常皮切部位(one window )を起点として逆二等辺三角形の角の位置に、一つは2mmあるいは3mmの光学視管や器具が入るポート(外筒と内筒がセットになり皮膚をカッティングできる)を穿刺挿入します。もう一つにはミニループリトラクター(牽引鉗子と把持鉗子の機能両者を有する器具, mini-loop retractor ; 以下MLR.)を穿刺挿入します。 ターゲットを見つけたらMLRの内臓ループの輪を広げ、その中を通した2mmあるいは3mmの細径鉗子でターゲットを掴み持ち上げながら、今度はMLRの内臓ループの輪を絞りロックします。これで切除するターゲットを確実に把持できます。これまでの作業は10mmの光学視管を見ながら行いましたが、ここで今度は光源を2mmあるいは3mmの細径光学視管に交換します。先ほど挿入していた細径の把持鉗子は必要ないので、代わりに交換した細径光学視管を挿入観察しながら、MLRで把持したターゲットをone windowより挿入した自動縫合器に引き寄せ切除します。切除した検体はone windowより挿入した収納袋に入れ、体外へ取り出します。one windowより胸腔ドレーンを挿入し、ドレーン固定用の糸を1針のみかけて吸引器に接続します。穿刺した二つの孔は縫合不要で、皮膚のみサージカルテープで固定したら手術終了です。