細径胸腔鏡下手術とは

交感神経遮断術

主に2mm、3mmといった細い光学視管・器具を用いて行う胸腔鏡下手術です。最近は3mmの光学視管(ストルツ社製)の方が画像が良く、当院ではこちらを使用しています。通常の胸腔鏡下手術では、光学視管や器具を挿入する際、皮膚に3〜4カ所メスで0.5〜2mm程度の小切開を加え、ポート(前述)を挿入します。一方、細径光学視管・器具を挿入するポートは、メスを使わずに、穿刺(puncture)のみの手技で胸腔内へ挿入可能です。この違いは何であるかというと、壁側胸膜(胸腔を形成する内側の壁:知覚神経があり痛みに敏感)の損傷が少ないこと、またポート抜去時に皮下や皮膚を縫合する必要がないこと(ただし皮膚のみサージカルテープで固定)にあります。従って、術後の痛みや傷が非常に小さく、術後疼痛、整容上、在院日数の軽減(日帰り手術が可能)の点で勝れていることにあります。

それでは実際どのような疾患が適応となっているかというと、
ひとつは、手掌多汗症に対する交感神経遮断術です。この病気は簡単に言うと手のひらに異常に汗をかく病気です。胸腔内には肉眼的に交感神経という神経を確認することが出来ます。第2〜3肋骨と交差するこの神経の一部を電気メスで一部切離することで症状が改善します。もう一つは自然気胸におけるブラ(気腫性のう胞)焼灼術です。レーザー・アブレーションとも言います。自然気胸の外科療法は、一般的にはブラ(気腫性のう胞)を切除するのが基本ですが、本法は低出力のレーザーでブラを焼いてしまう方法です。ただし、焼灼のみでは、術後リーク(空気漏れ)や再発の危険もあり、まだ一般的な方法とは言えないようです。それ以外では、局所麻酔下に胸膜などの一部を生検したり、膿胸下の肺ろう(肺から空気が漏れている部位)の確認などに行えます。これらは大きな検体を体外に取り出す必要はありません。従って、基本的に穿刺手技のみで可能です。