癌診断のためのアプローチ

肺癌の確定診断を得るためには、主に次のような検査が必要です。

  1. 喀痰細胞診
  2. 気管支鏡検査
  3. 肺針生検
  4. 胸腔鏡下肺生検
  5. 腫瘍マーカー測定
  6. FDG-PET

これらの検査は全て行うという意味ではありませんが、症例によって医師がある程度判断し行います。

1.喀痰細胞診は中枢発生の癌(太い気管支に発生した癌)などでは検出率は高いのですが、末梢発生の腺癌の場合必ずしも癌は検出されないことが多いようです。通常3日間、早朝の喀痰を採取し細胞診検査を行います。

2.気管支鏡検査は、ほとんどの場合におこなう重要な検査です。解剖学的に胃や大腸と異なり、肺癌は必ずしも内視鏡可視範囲内に病巣が在るわけではありません。気管支は樹枝状に枝分かれしており、気管支鏡で観察出来る範囲は限られています。従って、末梢発生の腺癌などはX線透視下で見ながら検査を行います。それでも末梢の小病変では確定診断に至らない場合もあります。 気管支鏡の器材 レントゲン写真

3.肺針生検は気管支鏡で確診の得られないような、肺野末梢病変に対しておこなわれます。現在ほとんどの場合、CTガイド下に正確に腫瘍の位置決めをおこなった上で施行しています。胸壁に近い末梢性病変では確定診断率も高く有用ですが、腫瘍径が1センチ以下の場合には呼吸性の移動のため、うまく当たらないこともあります。また検査後、気胸(肺から空気漏れをおこし肺がしぼむ状態)を起こすこともあります。 肺針生検の写真 レントゲン写真

細径胸腔鏡を用いた肺部分切除 4.胸腔鏡下肺生検は、気管支鏡や肺針生検でも確定診断が得られない場合に行います。全身麻酔が必要な点を除けば、外科的侵襲は極めて少なく、しかも病巣を摘出することで、組織検体が得られるため確実に診断ができます。(症例によっては外科治療も兼ねます)肺癌でも腺癌の一亜型である、限局型の気管支肺胞上皮癌(野口分類のタイプA、タイプB)といったものは、胸腔鏡下肺生検(肺部分切除)でも問題ないであろうというのが最近の知見です。

5.腫瘍マーカーはあくまで補助的診断で確定診断の根拠にはなりませんが、上昇している項目があれば、経過を見る上で重要となります。早期肺癌の場合には必ずしも陽性となることはありません。種類としてはCEA, SCC, NSE, TPA, シフラ,SLX,pro-GRPなどがあります。

6.FDG-PETは癌診療にとって革新的な診断法です。原理は簡単に言うと、癌細胞は正常細胞に比べて分裂が盛んに行われているために、ブドウ糖をたくさん取り込んで消費します。そのため18F-FDGというブドウ糖に似た薬を注射すると、癌の病巣にたくさん集まります。その様子をPETカメラで撮影すると、癌がどこのあるのか、またその大きさや性質、転移の有無がわかるというものです。ただ非常に料金の高い検査で、保険診療は肺癌など限られた癌が中心で、しかも適応は気管支鏡や針生検など、従来の検査を行っても診断が得られない場合などに限られます。一方、先に述べた限局型の気管支肺胞上皮癌(野口分類のタイプA、タイプB)といったものでは陽性率は低く、やはり胸腔鏡下生検が必要な場合も多いと考えられます。 気管支鏡の器材