肺癌を疑う異常陰影を指摘されたら
胸部CTスキャンについて
近年、高解像度CTスキャン(high resolution computed tomography:HRCT)が一般に普及し画像の解像度がすばらしく改善しました。当院では、新病院開設に伴い平成20年3月より、さらに解像度の高い64列MDCT(multi ditector computed tomography)を導入しました。。撮影時間も5〜6秒程度と早く、胸部レントゲン写真を撮る感覚で外来でオーダーでき、その日にすぐに説明ができます。当院でも希望者にCTよる検診を行っていますが、胸部単純レントゲンに比べて、はるかに多くの有所見が見られます。大きさが数mmのものから約1cm前後の微小陰影が、よく発見されます。ほとんどは癌の疑いがないようなもの(肺内リンパ節が多い)ですが、中には早期癌を強く疑うようなものまで見られます。
それでは、実際このような微小陰影を指摘され、二次検診を受けるように言われ病院を受診した際、どのようなアプローチで進めていくかを説明します。まず、以前に胸部CTを受けたことのある方は、そのCTフイルムと比較します。大きさや形状。部位などに変化がなければ、再び数ヶ月〜一年後に再度撮影でよいと思われます。初めて、指摘された方でも同様で、よほど最初から癌を疑うものでなければ同様の経過観察でよいと思われます。少し怪しいと思われる症例は通常2〜3ヶ月の間隔で異常所見のある部位を0.5〜1mmスライスでスキャンしたものを比較します。増大傾向のあるものや形状が著しく変化してきたものは確定診断のための検査(後述)をおこなった方がよいと思われます。
肺癌はその組織型によって次の4つに大きく分類されます。
- 腺癌
- 扁平上皮癌
- 大細胞癌
- 小細胞癌
現在増え続ける肺癌の最も大きな原因に腺癌の増加があります。従来から喫煙との関係が指摘されていた扁平上皮癌や小細胞癌は、比較的太い気管支に発生することが多く、咳嗽や血痰で発見されることが多いのですが、腺癌の場合、全く無症状で発見されることが多いのです。症状がないので本人も病識がなく、ついつい放置しがちですが、症状が現れたときにはすでに癌が全身へ転移していたということがよくあります。末梢に発生する癌のほとんどが、腺癌である現実を踏まえるとHRCTの重要性が自ずと理解されます。