脳神経外科

特長・得意分野

当科の外科治療の特徴は、数十ミクロン程度の血管や脳軟膜等、損傷しやすい脆弱な構造物を温存した丁寧な手術を行っている点です。動脈瘤が大型、あるいは複雑な形をしている場合は、ハイフローバイパスや深部バイパスなど種々のバイパスを併用して、瘤を完全に根治するよう心がけています。また、夜間でも術中に神経機能のモニタリングを行うことで、脳神経障害、麻痺等の合併症を未然に防ぐように心がけています。未破裂脳動脈瘤の術後合併症として、麻痺、脳神経障害、高次脳機能障害などが懸念されますが、上記手術を行うことで精度の高い安全な治療を提供することが可能です。(現在までに未破裂脳動脈瘤180例中mRS2以上の悪化は1例のみです。)また、くも膜下出血の合併症である脳血管攣縮により、一般的には15%-20%程度の患者さんが虚血症状を起こされますが、当院では手術中に徹底して脳槽に入り込んだ血腫を反対側まで洗浄して取り除くために、症候性の脳血管攣縮はほぼ起こりません。現在までに111例の治療を行いましたが、経過中に症候性の脳血管攣縮を起こされ、血管内治療を必要とした症例は3例です。また、くも膜下出血後に元の生活に戻れる方の割合(mRs 0から2)は、通常40%-50%程度と報告されていますが、当施設では79.4%です。109例中(現在治療中2名除く)、gradeIV, Vの重症くも膜下出血の患者様は41例(37.6%)含まれていたのですが、非常に良好な治療成績を得る事ができました。脳動脈瘤治療後の再発や、大型の脳動脈瘤で治療が難しいために他院で断られた方も一度ご相談ください。

診療実績・施行実績

2018年5月〜2024年3月31日まで

脳動脈瘤(直達術) 291例(バイパス併用例33例OA-calcarine、OA-PICA、M3-M3、A3-A3、STA-MCA、STA-ACA、STA-SCA、EC-RA-M2 OA-AICA)
頸動脈血栓内膜剥離術 68例
虚血に対する血行再建術 STA-MCA bypass 40例、STA-ACA bypass 2例、OAPICA bypass 1例、OA-MCA bypass 1例
もやもや病 5例(STA-MCA、STA-ACA、Target bypass)
脳動静脈奇形摘出術 16例
海綿状血管腫 6例(脳幹部2例)
脳腫瘍 87例
開頭脳内血腫除去術 92例
内視鏡下血腫除去術 9例
血管内手術 170例(血栓除去82例 動脈瘤コイル塞栓術21例 CAS15例 VAS1例 Onyx20例 NBCA19例 PTA3例 その他4例)
急性硬膜下血腫 23例
急性硬膜外血腫 5例
下垂体腫瘍(経鼻) 9例
外減圧 22例
MVD 10例
Embolectomy 11例
その他 321例(気管切開やスパイナルドレナージ等の処置は含めません)

随時実積をupします。